<家族や知人のメンタルの問題>
先に述べたお子さんについて以外にも、「親御さん・親族・知人の方で、メンタルが不安定だけれど専門機関に相談したがらない、でも、なんとかしてあげたい…」という受診相談がよくあります。中には、学校の生徒・会社の部下についてのものも見られます。
ここでは主に、相手の方の年代にやあなたとの関係性でどう変わるかお話しましょう。
<就学児 年代>
先生やスクールカウンセラーからの相談が多くあります。その場合は、学校からの心理相談としてお引き受けしています。ご本人を医療につなげるべきかの専門判断から、アセスメントや対応法をお教えするのですが、メンタルの難しい問題に対する学校や先生方のスタンスができてくると、(その頃には、本人・家族も建設的な方向に向き始めるため)事態が収束することが多いようです。
この時期に家族・学校・社会からの(本人の悩みや症状に対する)理解が及ばないと、長期的視点からは、本人も投げやりな人生になりやすいので、しっかり構える必要があります。
<いわゆる「大人」の家族・知人>
実情を言いますと、ご本人の代わりに予約をとられたケースの場合、かなりの率で、予後がよくありません。だからといって「なら、本人に予約させます」とすれば結果が大きく変わるわけではありません。この実情の理由に公式なものはありませんが、経験的にはご本人の背伸びや自分のこととして受け止める自身の少なさがあるのかな?といつも思います。
その場合、1つ目の病院ですぐ結果を出せることはありませんが、長い間に紆余曲折を経ながらだんだんとご本人にも現実を掴んでいただくほうがよいようです。
ですので、本人が微専門機関への相談・通院が続かなくても、(もしあなたがサポートを続けたいなら)あなたがどう考え、向き合えばよいかを相談する方法もあります。結果として、かえって安全に事態が変化していくこともあるものです。
<学生年代の友人や仲間、恋人>
ご本人が問題意識が薄いか、家族や専門家など社会に頼ることに不安が強い場合、まだ社会性に自信が少なく、結果として周囲の知人が代わりに考える状況になることがあります。
また、よく耳にするのは「知り合い・家族が『代わりに』病院を探して予約してくれと言われた」というケースです。上記の大人の場合同様、その通りに動くだけだと、なかなか事態の収束に時間がかかる場合が多いのが実情です。
これらの場合には、最終的に本人が患者さんになって相談に来るのをめざすとしても、まず周囲の方自身の困りごと・悩みとして、何回か相談するとよいかもしれません。どの場合でも言えることですが、一般常識や自分たちの考え方では判断が噛み合いにくい事態でも、専門家の判断を聞いているうちにスタンスができて、間接的な効果が出てきて本人が建設的に病院にかかったり自分を立て直せることもあります。
そうでなくとも、ドクターショッピングや周囲のせいばかりにすることを防ぐ効果はあるようです。
<高齢者の方のご家族>
残念ながら、当院は認知症の専門判断・治療は専門ではありません。これまでの経験でも、一時的な相談や専門の医療・福祉への道筋づくりは手伝うことはありましたが、いずれも短期の指導・介入で終わります。
ただし、老化によるメンタルの問題が生じている方のご家族の悩みや不安、どこに相談すればよいかわからない事態について(ご家族の主治医になることで)助言やサポートすることはよくあります。